長寿遺伝子のスイッチは人間でも実現できるか

長寿遺伝子のスイッチは人間も同じなのでしょうか。人間の場合も古くに、カロリー制限がプラスの影響を与えるという報告がありました。時は第二次世界大戦中のヨーロッパ。市民はストレスの多い生活を強いられていたと言えます。そのストレスによる心臓病で早死にする人が増えると予想され、実際に調査が行われたのです。

ところが、意外なことに心臓病による死者は逆に2割ほど減っていました。研究者らは食糧難によるカロリー制限が原因ではないかと考えましたが、それを証明するような証拠は見つかりませんでした。人間そのものを実験台にして確認する事に大きな制約があります。

しかも、人はとても長いという事も大きな壁です。いち早く成果を出したいというのは仕事の常と言えますが、研究においても同じでしょう。ところが、寿命が数十年にもなる生物を研究しようとすれば、その長い間成果も出ないままじっと耐える必要があります。

それで画期的な成果が出れば報われますが、成果が無ければ努力は全て無駄になってしまいます。その為、研究者は二の足を踏むハイリスクな研究だったのです。