「多くの生物の生存戦略において、長寿というのは大して重要視されていない」という事が言えると思います。というのも、多くの単細胞生物は基本的に不死である為、そもそも寿命とは無縁なのです。
一方で、寿命をもつ多細胞生物の場合でも、命をつなぐ鍵は生殖による世代交代です。長寿によって命をつないでいるわけではなく、一つの世代が長く生きる事自体は、言うなれば「おまけのような関心外の事」で、関心の中心は生殖なのです。
長寿は長く生殖活動ができる、あるいは生殖によって得た子どもを長く養育できるというメリットはあれども、やはりあくまでも二次的な選択肢の一つに過ぎないのです。それぞれの生物が、環境に適応しながら生存率を上げる選択をして、生殖につなげようとしているのです。
生殖を利にするために、様々な方策を試行錯誤されているのです。その中で異彩を放つのが人間です。私たちの求める長寿とは、生殖期間や子育て期間を延ばすためだけではないでしょう。
動機の一つとなる事もあるでしょうが、それだけではなく、自己実現、死への恐怖など様々挙げられるでしょう、その意味で言うと、長寿を追い求めているのは人間だけと言えるでしょう。